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情報技術研究部門 (ITRI: Information Technology Research Institute) 2011年度ポリシーステートメント公開版
情報技術研究部門 研究部門長 関口 智嗣
1.ユニットのミッション
産総研の情報通信・エレクトロニクス分野のミッションとして「IT(情報通信技術)によって誰もが知的活動を安全に支援され、それによって新たな価値や産業が生み出される活力ある社会の実現」が掲げてある。そのうち、情報技術研究部門が中心となって推進する第三期中期計画は下記の通りである。
I. グリーン・イノベーションを実現するための研究開発の推進
高効率なエネルギーマネジメントシステム
住宅、ビル、工場の省エネルギー技術
情報通信の省エネルギー技術
II.ライフ・イノベーションを実現するための研究開発の推進
III.他国の追随を許さない先進的技術開発の推進
デバイスの高機能化と高付加価値化技術
高度情報サービスプラットフォームの構築
サービスの省力化のためのロボット化(機械化)技術
技術融合による新サービスの創出
情報基盤における安全性や信頼性の確立
IV.イノベーションの実現を支える計測技術の開発、評価基盤の整備
資源等の有効利用を支援するデータベース
適合性評価技術
平成23年度はこれらの中期計画に加え、震災復興に資する研究の目標設定とプロトタイプ作りを行う。
2.ユニットの研究開発の方針
- バランスの取れた本格研究
- 学術系外部資金が投入される第一種基礎研究、政策系外部資金を充当する第二種基礎研究、共同研究系外部資金による実用化研究を軸としてポートフォリオバランスを図る。特に産業界との協調では具体的な利用例を想定し、ニーズ/要素技術のベストマッチをアレンジし、我々が提供できる技術と企業(ユーザ)が求めるニーズに合致する技術開発を共同研究、技術指導、委託研究などの制度を活用して積極的に推進する。研究開発のバリューチェーンの中で研究開発成果の企業化支援や技術支援を推進する。
- 産総研ミドルウエア戦略
- 研究成果研究プロトタイプに留まらず、ソフトウエア品質の向上と品質管理に努め 計算資源管理、ネットワーク管理、データ管理から画像理解、検索、多言語、セキュリティ、空間推論など広範囲な研究領域が対象となる。発信形態もダウンロードに適したpackaging やコンテンツ配信ネットワーク(CDN)だけでなく、クラウド/SaaS型の発信も行い、実環境の中で研究成果を育てていくResearch & Deployment を推進する。標準的なミドルウエアのレジストリ(登録・管理)手法を提供し、多くの登録を促進し、利用者の増加に期待する。常にユーザの視点を意識し、実利用の応用につながりやすいサービスレベルでの実証実験を通じてソフトウエアやコンセプトの改良を行う。また、海外との連携も強く意識し、広くユーザを求める。
- 国際的活動への積極的関与と貢献
- 研究成果の国際的展開のために、我々は欧米に対する第三極としてアジア太平洋地域での位置づけを明確にする。国内、域内はもとより欧亜、米亜の多様なパートナーシップにより国際的な存在感のある研究開発拠点となることを目指す。各国との協調を基本とし、技術面でのリーダシップの発揮、ソフトウエアの配信、人的交流の支援等を積極的に実施する。APIやプロトコルの国際標準に準拠することで広く普及を図る。標準が存在しないような新領域であれば、積極的に国際標準化団体への働きかけを行う。特に米国研究機関との連携を足がかりにして、共同研究の加速、ソフトウエアの海外利用の促進を図る。
- 成果の普及
- 産総研の戦略目標は2025年の実現を見据えて2015年に達成すべき目標として設定された。研究開発による技術の高度化や商用利用による事業化が進むにつれITは社会活動の基盤として社会により深く浸透する。さらに、企業化主体を有しない産総研はエンドユーザに対して直接的に事業を提供できない。従って、我々が持続的に研究成果の社会還元を行うためには最終消費者に至るまでのバリューチェーンを理解する必要がある。先端的な情報技術の研究開発はIT企業(またはユーザ企業)によりソリューションとしてユーザ企業群に提供され、ここで初めてビジネス創造と消費者へのサービス提供が行われる。
産総研ミドルウエア戦略は、ソフトウエア研究の成果をIT企業等が簡単に使い易い形(ミドルウエア)に加工して集積し、発信することで「見える化」を実現する。このためミドルウエアを開発・登録・発信・利用し、新たなITのイノベーションに資するためのオープンで規範的なミドルウエアプラットフォームを整備し運用する。 また、より一般的な成果普及としての広報活動を重視する。効果的な広報活動のため、広報戦略を策定する。特に国内外の研究展示、プレス発表、取材、産総研 Today執筆、ホームページの活用など対外的な発表に対してはユニット長がユニットスタッフと共に直接の指揮を執る。ユニットの顧客管理などを行い、定期的な情報発信を試みることで「見える化」に貢献する。
3.ユニット内マネージメントの方針
- 運営方針と体制
- 情報技術研究部門運営においてはトップダウンとボトムアップの最適バランスを試行する。例えば、研究課題選択の自由度をある程度担保しながら、研究成果の発信、リスク管理、外部予算獲得の戦略等をユニット事務側で実施する。研究実施の基本単位は研究グループである。研究グループは比較的大きな研究集団として新しい研究分野を開拓し、研究者の人材育成や研究リーダを養成する。研究グループ長は研究現場のマネージメントに関する責任者としてその自覚を持ってユニット経営を分任する。研究リソースは原則として研究グループに配分する。
一方で、研究分野間・研究者間の壁をなくし積極的に融合を図ることを運営の基本方針とする。すなわち、基盤技術の研究者と応用技術の研究者の間での議論および異分野の研究者や実務家や利用者との交流を深め、研究内容に関する相互理解を通じて視野を広げ、研究のタコツボ化を防ぐ。そのために、複数の専門分野にわたって求心力を持つコンセプトに基づく横断的な研究テーマを設定し、従来の個別の要素技術を超えて、技術同士や技術と生活世界とを擦り合わせることにより、ユニット内外の連携の下で斬新なシーズを創出し、本質的なニーズを発掘する。このように、異分野にわたる知識の融合を通じて新たなアウトカムを見い出す研究アプローチを推進する。横断的テーマは何らかの予算措置を伴う具体的なプロジェクトとして実現する。 研究拠点はつくばセンターおよび関西センター尼崎支所の2か所である。これらの機能は明確に区別されるものではないが、つくばは主として基礎的・基盤的な研究テーマの開拓と深化に加え、秋葉原で実施してきたソフトウエア開発、成果発信および外部連携を実施する。関西センターではディペンダブル技術を中心として関西地区企業を始め外部連携と事業化の推進を担うものとする。情報技術研究部門を軸として社会的なプレゼンスの向上や外部資金の獲得等のチャンスを産総研全体で共有することを目指す。つくばにおいては特に積極的な内部の研究交流、外部研究グループとの本格的な融合を推進し、研究推進、安全管理、コスト削減、リスク管理の観点からスペースの集約を行い、不要なスペースも積極的に返還する。
- 個人評価(短期評価)の方針として重要視するもの
- 研究ユニットとして成果の普及に努めるとともに、研究者集団であることを忘れないようにしたい。そのためには研究者の時間の5割をユニットの目標を直接実施する時間に割き、残りの5割を関連研究、自己啓発に割くことを求めている。
研究活動の質と波及効果を評価する項目は、論文発表、国際会議での発表、解説記事、口頭発表、招待講演、報道、受賞・表彰、共同研究や受託研究、特許等の出願・取得、ライセンシング等による技術移転、外部資金の獲得、外部公開デモ、見学対応、プロジェクトの企画立案、ユニットの枠を超えた連携、標準化、政策提言等を含む。これらを学術的貢献、社会的貢献、国際的貢献を主な3軸として評価する。
- 学術的貢献
- 論文発表件数
一般的に学術雑誌のインパクトファクタが低いこと、システム系の研究と論文の場合には件数が少ないこと、学会誌等よりも国際的な会議録の評価が高いことを十分に配慮する。
- ソフトウエア開発と公開
単純なダウンロード件数のみで評価することは行わない。しかし、ミドルウエア戦略によるサービスとしての利用提供を積極的に試みる。
- 特許・ノウハウ等の件数
ソフトウエアのノウハウを含め積極的に知的財産権の確保を行い、またそのための試みを高く評価する。
- 社会的貢献
- 産学官・地域のシンクタンクとして
業界団体等への活動協力実績、学会活動を通じての活動実績、企業や自治体等を通じた技術移転実績、企業との共同研究件数、委託研究件数、ノウハウ移転によるビジネス創出などを評価する。
- コンソーシアム活動を通じて
ユニットで開発した技術の普及への貢献度、企業への技術移転および集約への貢献を評価する。
- 新聞・マスコミ・展示会等を通じて
わかりやすい技術の普及広報と啓蒙を行った実績を評価する。
- 国際的貢献
- 国際的標準化活動 ISO/JIS, OGF, IETF, OASIS, OGCなどの国際的標準化活動に対して積極的に参加を行うと共に、WG活動等における貢献を行う。また、必要があれば電話会議等による定常的な活動を評価する。この他、海外の研究プロジェクトとの連携を重視する。
- アジア・太平洋戦略
アジア太平洋地域における公的・学術的情報技術研究開発において各国のリーダらと共にリーダシップを発揮し、コミュニティの中で果たした貢献を評価する。また国際的なネットワーク構築及び利用技術への貢献を行う。
- 人材育成の取り組み
- 当ユニットは情報通信の基礎基盤技術のみならず、多様な専門技術領域に支えられた利用技術を研究対象領域とする様々な人材を有している。さらに、国際的活動における貢献と保有するネットワーク等を有する人材に産学官からの期待が高まっている。このため、産業界・学界との交流、積極的な招聘、IT技術者養成を行う場としてこれらの期待に応える必要がある。このため、海外の研究機関の協力を得て広く研究者を短期から中期の派遣を行う。さらに、産総研が標榜するイノベーションハブにおいて、ビジネス戦略・知財戦略・技術戦略の三位一体を理解した上で高度な知識と経験に基づく技術への目利きができる人材を戦略的に輩出する。特に、平成23年度においては中堅研究者に対してビジネスマインドの醸成を促すため、海外の短期ビジネススクール、知財マネージメント等のコースを受講し基礎的な力を付けることを目標とする。若手研究員としてポスドクを積極的に受入れる。ポスドク及びテニュアトラックの研究員は専門領域の高度化に加えて融合的な課題にも取り組み視野の広い人材を育成する。
- リスク管理に関する基本的考え方と具体的な取り組み
- 研究のリスク管理の原則は個々の研究員の意識を高く保つことである。一方で研究現場に任せてしまうものではなく、ユニット内ではメーリングリストやイントラネットによる電子的な情報共有および継続的に対面での情報交換と議論を行い意識の共有と高揚を図る。
特に留意すべきリスクは情報セキュリティに関わるものである。システムクラックによるWebページの改変、スパムメールの踏み台にされるなどを情報管理上のリスクと考え、情報セキュリティ規定の尊守(OSのアップデート喚起など)を定期的に実施する。 また、予算執行に関するリスクについては多額の外部資金、及び運営交付金を執行するためその適正化、透明化に努める。適正な事務手続きを遂行するため、ユニット長と事務スタッフおよびグループ長らによるダブルチェックを履行する。
- コンプライアンスに関する基本的考え方と具体的な取り組み
- 研究のコンプライアンス保持の原則は、リスク管理同様個々の研究員の意識を高く保つことである。ユニット内ではメーリングリストやイントラネットによる電子的な情報共有および定例会合等を通じて継続的に対面での情報交換と議論を行うことで意識の共有と高揚を図ることも同様である。
特に研究データに関するコンプライアンスについて、研究の内容によっては大規模な実験や社会をフィールドとした実験など再現性が困難な場合も多くある。必要に応じた関連住民への説明や公開研究セミナー等を通じて広く議論を喚起し、常に疑念が生じないよう努力する。
以上
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