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Grid ASP

研究概要

本プロジェクトでは、グリッド技術を用いてアプリケーションの実行をユーティリティサービスとして提供するフレームワークを研究している。ソフトウェアの開発だけでなく、企業の様々な解析業務での利用に具することを目指し、企業と連携したサービス提供の実践も進めている。

研究の主な特徴

GridASPでは、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)を一つの企業が実施するのではなく、ポータル事業者(SP)、アプリケーション提供者(AP)、リソース提供者(RP)という異なる組織の連携によって実現する。各事業者が、それぞれの専門分野に特化したサービスを行うことにより、経営効率を上げ、ひいてはエンドユーザ(EU)へのサービス料金を従来のASPより引き下げることが可能となる。また、従来のASPでは「誰が」「何を」計算しているか、全て見えてしまう心配があるが、GridASPでは、リソース提供者には「誰が」計算しているかは見えず、ポータル事業者には「何を」計算しているか見せないようにすることが可能である。
GridASPでは、エンドユーザだけでなく、アプリケーション提供者やリソース提供者もポータルにアクセスする。ポータルシステムを構築するためのコンポーネント群をGridASP Toolkitとして実装している。

Grid ASP

計算機資源
RPのコンピュータは、Globus との連携モジュールを有するLSF、PBS、SGEなどのキューイングシステムによって管理されたシステムを想定している。典型的にはPCクラスタであり、ポータルからはクラスタの管理ノードへジョブを遠隔から投入することになる。また、実行が終了すると、必要なデータはポータルへ戻され、RPにおけるコンピュータ上のデータは全て削除される。

セキュアジョブ実行機能
エンドユーザを認証したポータルは、匿名アカウントを使用してリソース提供者にジョブ実行を依頼することで、リソース提供者には「誰が」依頼主かを隠蔽できる。また、エンドユーザとリソース提供者の間で共通鍵を用いて入出力データを暗号化することによって、ポータル事業者には、データ、すなわち「何を」計算しているかを隠蔽できる。これらを組み合わせることで、「誰が」と「何を」の両方を知る事業者をなくすことが可能となった。

アプリケーション配備機能
GridASPでは、必要に応じてアプリケーションが配備できることが望ましい。アプリケーション提供者と、アプリケーションを動かすコンピュータを所有するリソース提供者は、組織が異なるため、ポータルを介して、配備のやり取りを行う。アプリケーション提供者は、アプリケーション自身とインストールスクリプトなどをポータルに登録する。リソース提供者は配備が必要となった時点で、アプリケーションのパッケージをダウンロードしてインストールスクリプトを実行し、アプリケーションの配備を完了する。

シナリオ編集機能
エンドユーザの業務の多くは、単一のアプリケーションを実行するだけの場合より、いくつかのアプリケーションを連続実行させたり並列実行させたりする場合が多い。GridASPではアプリケーションのワークフローを定義できるシナリオ編集機能を提供している。登録済みのアプリケーションを選択し、連続的な実行や並列的な実行をGUIにより指定することが可能である。作成したシナリオはテンプレートとして保存でき、パラメータを変えて実行するなど再利用が可能である。
GridASPは、以下のようなケースに適用して利用することが可能であり、既にいくつかの企業に導入され、試験的な運用が行われている。

A) 企業によるユーティリティサービスの提供とユーザ企業によるサービス利用
固定資産を持ちたくないユーザ企業が、アプリケーションの実行サービスを、外部の企業からユーティリティとして利用する。
B) アプリベンダーによるサービスポータル
アプリケーションプログラムを開発したアプリベンダーが、ライセンスを売るだけでなく、ポータルを立ち上げてそのアプリケーションの実行サービスを提供する。
C) アプリベンダーが行う受託解析サービスのリソースを外部企業から利用
アプリベンダーがユーザ企業から委託を受け、他の企業が提供するリソース上で解析を実施する。
D) 社内コンピュータの統合
t社内の情報システム部門が所有するコンピュータを統合するポータルを運用し、社内の利用者へ実行環境を提供する。
E) 社内のコンピュータと社外のコンピュータの相補的利用
社内の情報システム部門が運用する同一環境ポータルから、社内のコンピュータだけでなく、他企業が運用するコンピュータも利用できる。
F) 社内の利用で構築したポータルとリソースを、外部企業にも提供
社内に所有するコンピュータを、自社内で利用するだけでなく、余剰分を外部の企業にも利用させる。

今後の展開

GridASPのビジネスを始める企業の参加を求めていくとともに、エンドユーザとして利用する企業を増やしていく。これらの普及活動と合わせて、実用化のための機能拡張を進める。

詳細URL

http://www.gridasp.org/